Erスタッフのpaco/渡辺パコです。
僕は以前からnikkeibp.jpで環境関係のコラムを週刊で連載しているのですが、今回日経BP社から許可をいただき、こちらのブログにも掲載できるようになりました。
同じ内容になりますが、お楽しみください。この号で23回目の連載なので、バックナンバーもたくさんあります。ぜひそちらもご覧ください。
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使用済みの廃棄物を処分するには、コストがかかります。特に電気製品など大型の消費財の処分は、適切に処分する必要があることはいうまでもないでしょう。日本では、代表的な大型消費財については、処分のルール造りがすでに行われているのはご存知の通りです。
シロモノ家電とよばれる、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、テレビについては、家電リサイクル法に基づいて、リサイクル費用を払って処分する必要があります。消費者の立場としては、このリサイクル費用をケチらずに、環境に負担をかけていることのコスト負担として支払う必要があります。中には、リサイクル費用を払いたくないために、不法投棄したり、田舎で土地が余っている場合には、庭先に放置したりといったこともあるようですが、使わなくなったものは、無用に放置せず、処理費用を気持ちよく払うという姿勢が重要です。
あたりまえのことのようですが、実はこの「気持ちよく払う」という姿勢を消費者が持つことは、とても重要な意味を持つと僕は考えています。実際に、消費者に対して、リサイクルの話をしたり、回収を担当するのは、家電販売店やその配送担当の事業者です。消費者の感情としては、これから買う新しい製品については、気に入ったものならお金を出そうと思っているし、買い物はそれ自体楽しいものですが、これまで使ってきた製品に処理費用を取られるのは、やはり「うれしい」ものではありません。わかっていても、つい「値引きしてくれ」とか、「どうしても払わなければならないのか?」と問いつめるなど、きつい行動に出ることもあるでしょう。販売店や配送業者も、感情を持った人間ですから、リサイクルのことで感情的なやりとりをすれば気が滅入ります。その結果、「法律ができたから仕方ないけど、やっぱりリサイクルはお荷物」という気持ちになると、いつまでもリサイクルが肯定的にとらえられません。少なくともこの連載を読んでいただいているような関心の高い方は、自分が処理費用を出す立場になったときには、気持ちよくお金を出していただきたいと思います。その結果、販売店や配送担当者も「最近はお客さんの環境意識が高い」と実感し、前向きに行動できるようになります。リサイクルや再資源化が社会の中にしっかり定着するには、多くの消費者が肯定的に考える、気持ちよくお金を出す、という常識が生まれることが重要で、今、法の網がかかっている部分でスムーズに回るようになれば、それ以外の製品にも広げやすくなります。それが、結局のところ不法投棄問題の解決にもつながるはずです。
このような僕の考え方に対して、「性善説に立ちすぎる、甘い」という意見もあります。確かにそうかもしれません。しかし、環境問題の解決に注目するひとの中には、環境に軸足を置きすぎて、法や制度で共生する部分をどんどん増やそうとする「環境ファシズム」のような考えに立つ人がときどき見受けられ、困惑します。「甘い」ように見えるかもしれませんが、100%完璧をめざさず、ある程度時間をかけて社会の仕組みを変えていく(=市民が環境的な行動を肯定的に受け入れていく)ことが、結局はこの問題の適切な解決につながるというのが僕の考えです。
さて、今、家庭で使われる製品で、処理の方法が法律で決まっているのは、上記の家電リサイクル法に該当するものに加えて、パソコンリサイクル法で、パソコンとディスプレの廃棄の時点での法に従った処分が義務付けられています。こちらは、2003年10月の法律施行以後、現在販売されているパソコンとディスプレイには、原則的にリサイクル費用が含まれいているので、廃棄の時に支払う必要はありませんが、それ以前の製品の場合は、廃棄時点でリサイクル費用を払う必要があります。自動車もリサイクル法が適用されていて、特に処分に費用がかかるシュレッダダストなどにリサイクル費用を払うことが義務付けられています。
今後は、これらの製品だけに留まらず、より多くの消費財に対してリサイクル法が適用され、再資源化が一般化することが重要です。法でリサイクルを義務付ける製品がもっと増えるべきでしょう。しかし方法は必ずしも義務づけばかりではないのではないかと思います。というのは、現在は多くの分野で製品カテゴリーの融合が起こっていて、いちいち法律に明記していたのでは、追いつかなくなる可能性がある、ということです。たとえば携帯電話にテレビ機能がつく機種が増えていますが、これは家電リサイクル法の対象にはなりません。携帯電話会社が自主的に回収する対象にはなっていますが、「テレビ」というくくりの法律ではカバーできないのです。カーナビもテレビ受信ができますから、同様の問題があります。これからはインターネット機能がいたエアコンや冷蔵庫なども登場しますから、これらをパソコンとして処分するのか、エアコンとして処分するのかといった問題が出ないとは限りません。
製品ごとにリサイクルの仕方を定める時代はいずれ終わり、企業が販売した製品は、その企業が再資源化を受け入れなければならないというルール造りにする必要があるでしょう。消費者にどこまで義務化するかは議論があるでしょうが、メーカーに処分を依頼したら、メーカーはそれを受け入れなければならない、という法律をつくったほうがよい、と僕は考えています。
僕はほとんどの仕事がPC上ですむようにしているのですが、そのために何台ものPCやハードディスクなどの周辺機器を使っています。台数が多いので、ハードディスクは消耗品のように定期的に壊れ、買い換える必要があるし、プリンタもキーボードもマウスも、消耗品のような部分があります。これらは、パソコンの一部として買ったものはリサイクル法の対象になって再資源化してくれますが、サードパーティで買ったものは「燃えないゴミ」に捨てることになります。壊れてしまったビデオ、ビデオカメラ、「すり切れた」ビデオテープ、使っていないケーブル類。いずれも今のリサイクル法のカテゴリか、そのごく近い分野の製品群であり、既存のリサイクルルートに載せることも難しくないでしょう。お金を払ってもいいから、「捨てたくない」という感情に応えるサービスが登場するところまで行く必要があります。そのためにも、今法律で決まっているリサイクル費用は気持ちよく出す、という意識の変化を、消費者、市民の側が持つことが需要です。企業サイドは、すでにリサイクル法に基づいてさまざまな体制を整えてきました。現状、「次に対応する」のは、市民の側ではないかと僕は考えています。
さて、「お金を払ってでもちゃんと処分(再資源化)する」というサービスに近いのが、「廃品回収ビジネス」です。僕が住んでいる東京でも、家電やオートバイを回収するとスピーカーでしゃべっている回収カーが回ってくるし、ポストには粗大ゴミ、家電リサイクル該当品も含めて回収するというチラシが入ります。インターネットにも多くの回収業者がサイトをひらいています。
これらの業者の情報をとってみると、どうもあやしげな業者もあるようですが、中にはきちんとしていると思われるところもあり、必要な「廃棄物処理業」の免許を取っているのはもちろんのこと、ISO9000や14000シリーズの認証を取得し、不法投棄は絶対しないと宣言している業者もあります。今後はこうした業者が成長し、法の網のかかっていないモノを、適切な方法で、適正なコストで、処分してくれるようになるのではないかと考えています。現状ではどの業者が「まとも」なのかを判断するのは難しいと思いますが、環境NPOなどが廃棄物処理業者を★付きで評価するなどすれば、利用しやすくなります。
無用な消費を押さえることはもちろん重要ですが、ステップとしては、使わなくなったものは適正な金を払って処分する、という習慣を根付かせるほうが先だというのが、僕の考えです。