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メディア掲載・プレスリリース

2012年01月28日 日経産業新聞「環境活動をさりげなく」

テーブル販売 植樹もセット タイヤチューブ バッグに加工

「テーブルを1つお買い上げいただいたら、苗木を1本植えます」

「銘木無垢ダイニングテーブルDOIMOI」を展開するドイモイコレクションズ(札幌市)は、2007年からこんな活動を続けている。

北海道の木材を使った無垢(むく)のテーブルは楽天の仮想商店街「楽天市場」などで人気を集め、15万5000~30万円の高額なテーブルが月に30~40台売れるという。

12年前にファッションデザイナーを辞めて起業した土井博之社長は、苗木を植える理由をこう説明する。

「無垢のテーブルを1台作るには、1本の木をほとんど丸ごと使います。使わせてもらう自然にお返しをしたい」

07年から11年までの5年間で、2000本以上の苗木を植えた。植林活動「プレゼント・ツリー」を展開するNPO法人、環境リレーションズ研究所に、テーブルを買った人の名前で植林証明書を発行してもらい、テーブルと一緒に届けた。

11年3月の東日本大震災の後は、岩手県陸前高田市で津波の最高到達地点の桜を植えている「桜ライン311実行委員会」への募金に切り替えた。テーブルが1台売れるたびに、購入者とドイモイの連名で協賛金を支払っている。

ネット通販でテーブルを買うのは小さな子どもを持つ30代が多い。環境問題や社会貢献に敏感な世代だ。植林活動は「証明書をもらって感動した」など、顧客満足度を上げることにもつながっている。

「SEAL(シール)」ブランドで、廃材のタイヤチューブを加工したバッグなどを販売しているモンドデザイン(東京・港)は、中国での植林活動に参加している。バッグが1つ売れるたびに、1本の松を植える。

ペットボトルを材料にしたフリースなど、リサイクル商品の登場にヒントを得た元広告クリエーターの堀池洋平社長は、07年にタイヤチューブを再利用する「SEAL」ブランドを立ち上げた。

トラックなどの大型車を支えたタイヤチューブは摩耗の仕方が一つ一つ違い、世界に1つしかない模様のバッグが作れる。防水、耐久性は折り紙つきだ。

「(環境活動は)さりげなくやるのが格好いい」(堀池社長)と考える同社は、ホームページでは製品のデザインや機能を前面に出し、植林活動については製品のタグに小さく書くにとどめている。押しつけがましくならない程度にエコであることが、年間3万個を売る秘訣らしい。売上高の1%はさりげなくWWF(世界自然保護基金)ジャパンに寄付している。

楽天はこのほど、伊藤忠商事の子会社で太陽光発電システムの販売・施工を手掛ける日本エコシステム(東京・港)に33・4%出資すると発表した。楽天市場を利用して日エコの売上高を現状の3~4倍に引き上げる狙いだ。

楽天の三木谷浩史社長は「ネット企業には社会との共存を目指す傾向が強い」という。年間の取扱高1兆2000億円を超えた楽天市場の中でも、日々グリーンイノベーションが起きている。

【図・写真】カバンは古タイヤのチューブを再利用。1つ売れると松を1本、中国で植林する

(編集委員 大西康之)

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